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ほーちゃんの趣味手帖

主にゲームについて語ります。二次創作あり。苦手な方はご注意ください

【遙か2】バレンタインSS~勝真編~

プロローグをお読みでない方は、先にこちら(【遙か2】バレンタインSS~花梨編~ - ほーちゃんの趣味手帖)をご覧ください。

 

 

 ぽんとチョコレートを口に放り込み、開口一番、勝真は言った。
「苦いな」
 あれっと花梨は思った。溶かしたのは、ごく普通のミルクチョコレートのはずである。何かの分量を間違えたのだろうか。
 作っている間はずっと、今この瞬間を想像するのに忙しくて、肝心な手元がお留守になることが多々あった。やらかしがあっても不思議はない。
「けど、甘い。変な食べ物だな」
 花梨は、やってしまったかもしれない失敗の数々を脇に避け、憤慨した。
「そんな言い方はないんじゃないですか?」
「この世界の食べ物は、変なのばっかりだな」
 言いながら、勝真は、もぐもぐと口を動かすのに忙しい。これで意外と、新しい世界の生活を満喫しているのである。京の外を見てみたいと言っていた言葉に、誇張はなかったようだ。初めての食べ物に夢中になっている勝真に、花梨はちょっと物申したくなった。
「あの、こっちの世界でのバレンタインは特別なんですよ」
「ああ、知ってる」
「本当ですか?」
「お菓子会社の経営戦略なんだろ」
 花梨は、思わず怒るのを忘れた。
「そんなこと、どこで聞いたんですか?」
「バイト先の親父が教えてくれた」
 ご馳走様、とあっさり言って、包みを粗雑に懐にしまう。ぺろりと舐めたくちびるには、チョコレートの欠片も残っていない。意外と器用に食べるんですねぇと言いかけて、花梨は重要なことを思い出した。
 私は、今、怒っているんだ!
 今更な気もしたが、こんなにも楽しみにしていたバレンタインを、ざっくりと一蹴された傷は深い。はずである。――あんまり怒りは湧かないけれど、それはそれとして。
 花梨は、勝真に背中を向けた。見えていないのを承知で、膨れっ面もしてみた。今更だなぁと勝真が笑って、そして――花梨の背中に、どんっと衝撃が走った。
「ありがとう。お前の気持ち、嬉しかった」
 今日は、もう少し一緒に過ごすか。特別な日だもんな。
 かっかと燃える耳に、囁きだけが聞こえた。回された腕に指をかけて、こくりと小さく頷くと、お前ってほんとに素直だよなと、勝真があっけらかんとまた笑った。

 

 

花梨SSシリーズのときも言いましたが、勝真さんを書くのは恥ずかしい!!

 

 

〈バレンタインSSシリーズ〉 他の八葉ともバレンタインを過ごしてみてね!

【遙か2】バレンタインSS~頼忠編~ - ほーちゃんの趣味手帖

【遙か2】バレンタインSS~イサト編~ - ほーちゃんの趣味手帖

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【遙か2】バレンタインSS~幸鷹編~ - ほーちゃんの趣味手帖

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【遙か2】バレンタインSS~頼忠編~

プロローグをお読みでない方は、先にこちら(【遙か2】バレンタインSS~花梨編~ - ほーちゃんの趣味手帖)をご覧ください。

 

 

 花梨にとっては勝負の日、その放課後。
 校門の裏側で、気配を消して佇んでいる人影を目ざとく見つけ、花梨は走り寄った。
「頼忠さん、いつもここで待ってると、そのうちみんなに怪しまれちゃいますよ」
 人影は、ふわっと柔らかな笑顔を浮かべて花梨を迎えた。
「先日、この付近で賊が出たと聞き及びましたので、こうしてお迎えにあがりました」
 花梨殿には指一本触れさせません、と頼もしく言い添える風変わりな恋人に、花梨は困ったなぁと頬を掻く。こうして大切にされて、こそばゆい気持ちになるけれど、
「不審者を見つけても、こてんぱんにしちゃだめですよ。捕まっちゃいますから」
「心得ております」
 本当かなぁ。花梨は、隣を歩きながら首を傾げる。なかなかこの世界に馴染めないこの彼氏は、既に、花梨の友達の間ですっかり有名人なのだ。
 ともかく、今日は大切な日である。花梨は、一旦問題を脇に避け、軽く息を吸い込んでから、思いきって言った。
「今から、ちょっとどこかに寄りたいんですけど」
 返事は、簡単明瞭。
「構いませんが、金がありません」
 一度だけ、二人で遠出をしたときに、すべてを花梨のお小遣いから支払わせたことを、頼忠はまだ気にしている。この分だと、頼忠の生活が安定するまで、しばらくは気にしつづけそうである。花梨は、こっそりとお洒落な店でのバレンタインデートを諦めた。
 とは言え、家の前まで到着してから、チョコレートを渡しているところを、両親に見られるのは何としても避けたい。花梨は、一生懸命言った。
「だったら、近くの公園に寄りませんか」
 対する答えも、やはり簡単明瞭だった。
「承知いたしました。参りましょう」
 花梨は、ほっと一息吐いた。これで、半分以上はクリアしたようなものだ。
 安心しきった花梨にとって、道中の頼忠の言葉は完全に不意打ちだった。
「私とて、いつでも、あなたと二人きりで過ごしたいと思っております。少しでも長く」
 花梨は、ふわぁっと舞い上がった。足取りが危うくなって、咄嗟に手を伸ばした頼忠に支えられる。
 私もです、と消え入りそうな声で答える花梨を見て、頼忠はそっと微笑した。年下の恋人を持つ男が、愛しくて仕方ない彼女に向ける、優しい笑みだった。

 

 

「頼忠さんが、校門で花梨を待っている。イメージはSP」と言う、超ざっくりしたプロットで書き上げた初ラブコメ

楽しんでいただけたら幸いです。

 

 

〈バレンタインSSシリーズ〉 他の八葉ともバレンタインを過ごしてみてね!

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【遙か2】バレンタインSS~花梨編~

こちらは、遙か2〈現代ED後〉の、花梨と八葉が過ごすバレンタインの様子を、想像・捏造した二次創作となります。

以下のプロローグをお読みになり、お好きな八葉の物語へとお進みください。

 

 

 高倉家のキッチンに、甘い、甘ぁい匂いが充満している。帰ってきたお父さんはゲホゴホと咽込み、お母さんは花梨を呼びつけて、今すぐキッチンを片付けなさいと命令した。
 とろとろのチョコレートが残ったボウル、流しに無造作に放り込まれた鍋。ココア色の染みがところどころにこびりついたエプロンを脱ぎ捨て、ラッピングに没頭していた花梨は、お母さんに叱られてもとんと堪えず、はーいと明るく返事をすると、ごちゃごちゃのままのキッチンへと入っていった。
 キッチンから、上機嫌な鼻歌が聴こえる。お母さんは、お父さんにお茶を出しながら、角を収めてそっと笑いを忍ばせる。お父さんはお茶をすすって、憮然とした表情でテレビを睨む。と、ばたばたと慌ただしい音がして、小さな包みを持った花梨がリビングに飛び込んできた。振り返らないお父さんに向かって、包みを雑に放り投げ、「バレンタインのチョコレート!」と元気な声で言い捨てて、またキッチンへと駆け戻る。お母さんが、たまりかねたようにくすくすと笑う。お父さんも、気難しく作った顔に照れをにじませて、不器用に笑った。

 花梨にとっては初めての、誰かの彼女として、大好きな彼のためにチョコレートを作ったバレンタイン。
 自分が、誰かだけの女の子であるという幸福感。
 自分に、私だけの彼がいるという満足感。
 キッチンはチョコレートの匂いで満ちていて、後片付けに追われる花梨の心は、幸せで満たされている。えへへへへと笑み崩れながら、花梨が頭に思い描いた人は――

 

頼忠さん→ 【遙か2】バレンタインSS~頼忠編~ - ほーちゃんの趣味手帖

勝真さん→ 【遙か2】バレンタインSS~勝真編~ - ほーちゃんの趣味手帖

イサトくん→ 【遙か2】バレンタインSS~イサト編~ - ほーちゃんの趣味手帖

彰紋くん→ 【遙か2】バレンタインSS~彰紋編~ - ほーちゃんの趣味手帖

幸鷹さん→ 【遙か2】バレンタインSS~幸鷹編~ - ほーちゃんの趣味手帖

翡翠さん→ 【遙か2】バレンタインSS~翡翠編~ - ほーちゃんの趣味手帖

泉水さん→ 【遙か2】バレンタインSS~泉水編~ - ほーちゃんの趣味手帖

泰継さん→ 【遙か2】バレンタインSS~泰継編~ - ほーちゃんの趣味手帖

【遙か2】十年後SS(玄武ver.)

※こちらは、遙か2ED後の八葉たちの様子を、想像・捏造した二次創作となります

 

 

菊と石蕗 ~泉水と泰継 十年後~

 

 しんしんと雪の降り積もる音と、さやさやと人ならぬ者たちが囁く声だけが聞こえる地。雪深い北山の更に奥深く、日常から切り離された静寂の支配する小さな庵に、その日の夕刻、一人の来客があった。
 庵の主、安倍家の人型である安倍泰継は、白い素足で雪を踏みしめて、客の訪れを待っていた。凍えるような風の中、僅かばかり頬を赤くして、険しい山道をさして苦にする様子もなく登ってきたのは、泰継の旧知の公家、源泉水である。二人は、かつて尋常ならざる体験を通して知り合い、以来、十年に渡る付き合いを続ける仲であった。
「よく来たな」
 あっさりと述べて、庵に入っていく泰継の後に続きながら、泉水が尋ねる。
「ここへ参るとき、見かけた小鳥は、泰継殿の式神ですか」
「そうだ」
「それでは、私の来訪をご存知だったのですね」
「そうだ」
「大晦日はこちらに参れませんので、年越しのご挨拶に上がったのです」
「そうか」
 質素な室内に、火鉢が一つ。寒さの堪えない泰継自身は、少し離れた位置に腰を落ち着け、勧められるまでもなく、泉水が火鉢にほっそりとした指をかざす。
 しばらく、会話のない静かな時が流れた。
 ややあって、泰継が尋ねた。
「宮中の様子はどうだ。彰紋は息災か」
 泉水は、おっとりと優しい笑みを浮かべた。
「甥君にすべてを譲られ、今は羽を伸ばしておられます」
「そうか」
「そう言えば、先日、勝真殿が帰っていらしたのですよ。その内、こちらにもご挨拶にいらっしゃるのではないでしょうか」
「勝真か」
「以前、お会いしたときより、より一層若々しくお元気なご様子でした」
「そうか」
 泰継は、ほんの一時目を瞑り、それから「いくつになる」と聞いた。
「はい?」
「勝真だ。三十を越したか」
「そうですね、そのくらいだと思います。時が過ぎるのは早いものです」
「私は――」
 少し言い淀み、視線を下に添えて呟く。
「私は、いくつに見える」
 泉水は、労わるような眼差しを泰継に注ぎ、そっと言った。
「大丈夫、ちゃんと人並みに年を重ねておられますよ」
 柔らかい嘘だった。
 初めて会ったとき、二十を少し過ぎて見えた泰継は、十年経った今も、白く皺一つない肌、若木のように涼やかな面立ちを保ったままである。このまま、少しずつ年の差が開いていくのを、ただ黙して受け入れるしかないのだろうかと、泉水は理不尽な思いを覚える。
「一瞬で、人に為るわけではないのかもしれません。希望を捨ててはいけません」
 穏やかに言葉を重ねる泉水に、泰継は、拗ねたような眼差しをした。
「お前は、神子のようなことを言う」
 泉水は、思わず目を瞑った。
「神子なら、きっとそう言う」
「泰継殿は」
 言いさして、続きの言葉が浮かばない。少し口をつぐんでから、ようよう何かを言おうとすると、自分でも痛ましいような声が出た。
「まだ、彼女を神子と呼ばれるのですね」
 もう、彼女は神子ではないのに。
 天上の世界で、ジョシコウセイという名の生を――いや、十年経った今では、誰ぞに嫁ぎ、子を為して、人並みの幸せを手に入れているかもしれない。
 高倉花梨と言う名の、一人の平凡な女性として。
 いや、彼女は平凡ではない。その非凡な心の美しさ、稀有な霊気を知り、泉水は新しい生を手に入れた。そして、ここにいる泰継も、同じ経験をしたはずだった。
「神子は、神子だ」
 泰継は、頑なな口調で言い張った。
「私にとって、あの者以外の神子はおらぬ」
「そうですね」
 湧き上がる想い、その郷愁を押し殺し、低い声で泉水は答えた。それが精一杯だった。
 ついと泰継は立ち上がり、凍りつく泉水の脇を横切って、薬棚の前で何かを探しはじめた。泉水は、振り返ることができないまま、目の前の火鉢と睨めっこを続けていた。
 やがて、泰継は、小さな木箱を手にして戻ってきた。無言のまま、泉水の前にすっと差し出し、蓋を開ける。古びた土の香りに、泉水は怪訝な顔をした。
「石蕗だ」
 泰継は言った。
「神子が、私にくれたものだ」
 濁った黄色の、無数の細い花びらのようなものが、箱の中で死んでいた。
「葉は、薬に使った。根と茎と花は、こうして取ってある。『たからもの』と呼ぶのだと、神子に教わった」
 泰継は、尚も言い募る。
「どんどん、形を変えて行く。この者たちは、土へ還ろうとしている。すべてが、私を置いて行く」
 泉水は、何も言えずに、十年の時を重ねた箱の中を見つめた。箱の縁にぽたりと雫が落ち、はっとして泰継の顔を見ると、舶来の硝子玉のような瞳から、ほろほろと涙が落ちている。それを泉水に見られても意に介すことなく、手放しで泣きつづける。
 泰継は、蓋を閉じた。その箱は石蕗の墓なのだと、泉水は悟った。高倉花梨と言う、一人の少女との想い出が眠る墓なのだと。
 ふいに、泉水の脳裏に、すんなりと可憐な白菊の花が浮かんだ。あれは――そう、花梨がまだこの京に来たばかりの頃、泰継とまともに会話が成り立たなかった頃、泉水がもらった『たからもの』であった。菊が好きだと言ったことを、彼女はちゃんと覚えていたのだ。そういう優しい心配りのできる人だった。
 あの菊は、どうしただろう。しばらくの間は、屋敷の自分の部屋に活け、目と心を和ませて楽しんでいた。そして、その後は。
 箱を置いて、泰継は言った。
「お前は、変わったな」
 泉水は、勇気を振り絞り、涙を流しつづける泰継の瞳を見た。己の心の痛ましさを抑え、苦痛に溢れる友の顔を見た。
「年を取った。私に遠慮をしなくなった。物をはっきりと言うようになった」
「昔は、あなたのことがこわかったのです」
「知っている。だが、それだけではない」
 わかっているはずだと、語気を強めて泰継は言った。わかっておりますと、心の中で泉水は答えた。己は、年を取った。小さく縮こまって、周囲にひたすら詫びながら生きるのを止めた。それは花梨のお陰であり、十年という歳月のお陰でもある。
「お前は、神子のことを忘れていく」
 泰継の声に、少し詰るような響きが混じった。
「会うたびに、少しずつ忘れていく」
 泉水は、驚いて声を上げた。
「忘れてなどおりません。どうして忘れられましょう」
「いや、忘れていく。お前の記憶の中で、神子の姿はだんだんに薄れていく。目鼻立ちも、声の響きも」
 人とはそういうものだ、と泰継は言った。
 泉水は、二の句が継げなかった。
 思い出せない菊の行方が、脳裏に蘇る。決して、大切に想っていないわけではない。忘れたいと思っているわけでもない。けれど、花梨の顔をはっきり思い浮かべようとすればするほどに、だんだんとその姿が掴めなくなって行く。遠のいて行く。
 十年は、長い。
 短いと自分が感じる以上に、ずっと、長い――
 泰継は、立ち上がった。石蕗の箱を、想い出をしまいにいったのだと、泉水にはわかった。泰継の顔を凝視していた瞳は、行き場を失い、がらんとした庵の中を彷徨った。
 戻ってきた泰継は、もう泣いていなかった。
「まだ、出家はせぬのか」
 泉水は、虚ろになった瞳を泰継に向けた。
「考えておりません」
「三十になったら出家すると言っていたのではなかったか」
 泉水は思い出した。確かに数年前、そのようなことを言った気がする。
「いざ、三十の境を迎えてみると、そのような気が起こらないのです」
「そうか」
「いずれは御仏にお仕えしたいという思いはありますが、もう少し浮世を眺めていたいように思います。それに」
 率直な気持ちで、泉水は言った。
「御仏の道に入れば、こうして、ここに頻繁に参ることもできなくなりましょう」
 泰継の目元が、僅かに和んだ。
「そうか」
 ぱちぱちと、火鉢の中で火花が爆ぜる。気がつけば、外は冷え冷えとした夜の帳が下りている。泉水は、すっと居住まいを正した。
「泰継殿、今年もお世話になりました」
「帰るのか」
「ええ。来年もよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしく頼む」
 わずかな灯りを頼りに、外へ出た。白い小鳥が、ひらひらと泉水の前を舞う。来客が無事に北山を下りるまで、万事を見守る式神である。帰りが遅くなった日は、泰継は必ず、この式神を泉水につける。十年来の友の心遣いは、冷たい夜風に吹かれる身に沁みる。
 明日は大晦日。十年前、この京に龍神が降り立った日。
 泉水は、星々の煌めく夜空を見上げ、その向こうへと帰って行った、かつての龍神の神子に思いを馳せようとした。
 泉水の中で、常に微笑む彼女の顔は、寒空の下、不自然にぼやけて滲んで消えた。

 

 

人である泉水と、人になった人形である泰継の感じる、十年間という歳月の違いを想像しながら書きました。なので、こんな物悲しいお話に……

他の四神と比べて、元々派手な衝突をしないこの二人ですが、徐々に通い合うものが流れて、穏やかに友情を育んでいくところがとても好きです。

【遙か2】習作SS~モブたちの八葉語り~

こちらは、遙か2の八葉たちを、いろんな形で描写した習作集となります。

元々は、作文の練習のために書いたもので、二点の目標が設けてあります。

・個人の名前は出さない
・髪色、衣服などの記号的な描写は極力控える

まぁ、設けただけで割りと破っちゃってるんですけど

恋愛描写もなく、ただ名もなきモブたちが八葉について語っているだけの、色気のない小品集となっておりますが、読んでいただければ幸いです。

 

 

一、

 鋭い目をした男だ。息を詰め、自在に気配を消し、その気になったら情など棄てて、人の命を斬り捨てることのできる男。それを生業にしているのだと、一目でわかるような男。
 長身である。鋼の身体は、藍の上着に包まれて見えぬ。殺気はない。この男は、殺気を猫の爪のように自在に出し入れできるのだろう。今、彼の表情は無だ。構えず、動じず、ただその場に座している。
 見る者が見れば、この男の表情が、少し、奇妙すぎるくらいの無だと気づくかもしれない。己を己で殺している男。その瞳の内を覗いても、彼の意思はわからない。
 だが、この男の瞳の、更に奥を覗くことができた人間は、きっと悟るだろう。
 そこにあるのは、揺るがぬ意志。何が何でも己を殺し、ひたすら主君に従うのみと決めた意志。己を恃みにしないという意志。
 肉体よりも更に強靭な心で、ばねのようにしなやかな己の生命の躍動を、圧して、殺して生きてきた男なのだと、わかるだろう。

 

二、

 平家の若君の話をしようかね。
 いんや、長男の方じゃアない。次男坊、そう、気むずかし屋で通っている若様の話さ。
 おや、お前も、あいつのことは苦手かね? そういうふうに言う者は、あいつがもっと小っちゃい頃から、そりゃあ多かったんだよ。
 あいつのことはわからない、私たちとは違う世界の人間だってね。
 たまぁに、そうやって生まれつくモンがいるのさ。貴族に生まれても、馴染めない。ガキの頃は、市井の腕白坊主どもと遊び回っていたときもあったようだがね。あの年になったら、そういうわけにゃいかないんだろう。
 嫁さんも取らず、ただ黙々と、自分の木っ端仕事を続けてる。噂じゃ、文官の父君や兄君とも不仲だと聞くよ。常に弓を背負っているが、ありゃ何のつもりかね? 本人は、いっそ武士にでもなりたかったのかもしれないね。
 そう難しい顔をしなさんな。あれはあれで、相当に信頼の置ける男さ。ああいう輩は扱いにくいがね、一度懐に入ったモンはどこまでも一本大事にする、そういう気性なんだと見てとれるじゃないか。
 まぁ、今は、そんな相手は見つかっていないようだがね。その日が来れば、お前にだってきっとわかるさ。

 

三、

 見えるかい? 僧兵装束の若者たちが並んでいるね。その一番右端の、いや、違った右から二番目の、そうだ! あの不貞腐れたような顔をしているのが、お探しの少年さ。ふむ、何ぞ面白くないことでもあったのかな。あれは、なかなかに激しい気性でね――
 おっと、御坊に何やら怒鳴っているね。やっぱり、気に喰わないことがあったんだろう。いやいや、気にしなさんな。あれは素直な奴だから、すぐに己のしたことがわかって、しょげかえるに決まっている。ふふ、ほらね。
 いつもそうなんだ、あの子は。私らは再三注意しているんだが、なかなか直らない。心静かに御仏にお仕えするには、まだ大分修行が必要そうだね。
 ところでお兄さん、あの子に何の用があったんだい? そう、行き倒れたところをねぇ――それはまた、あの子らしいことだね。
 そういうことなら、修行が終わったら、是非、あの子に会って行っておくんなさい。ここで夕暮れまで待てば、嫌でも会えるよ。また、どっかの行き場のない子の手でも引いて、バタバタと駆け込んでくるんだろうからさ。

 

四、

 わたしがまだ、ほんの小娘だった頃の話。
 菊の香りがぷうんとする貴族様に、助けてもらったことがあるのよ。
 そのとき、わたしは足を捻ってしまって、どうも上手に歩けなかった。でも、腰を痛めたお父ちゃんの代わりに、どうしてもお品を届けなくっちゃいけなかったの。帝のおわす大内裏の入口できょろきょろしていたら、どんと人にぶつかってしまってね。尻餅をついたわたしは、犬でも相手にするみたいに蹴飛ばされて、人通りの隅っこで、めそめそと泣いていた。
 そうしたら、その人が手を差し伸べてくれたのよ。まるでお日様みたいな、ふわっとあったかい影が差してさ。
 あのとき、わたしはこわくって、咄嗟に手を取ることができなかった。真っ白くって、柔らかそうで、一度、貴族の家に奉公していた頃に見かけた、舶来の砂糖菓子のような手だったよ。
 そう、砂糖菓子のような人だった。わたしたちのような者には決して手の届かない――優しくて、大層甘やかな味がするんだろうと想像させるばかりに、残酷な。
 わたしが手を取らないので、その人は困ったような顔をして、どこかの貴族へのお遣いですか、と聞いてくれた。そういう顔をすると、途端に年相応に見えたっけ。わたしとあんまり年が変わらないんだって気づいたのも、そのときだった。
 わたしからお品を受け取って、確かに取り次ぎますと仰って、その人はふんわりと行ってしまった。その後、いかつい顔をした武士たちがぞろぞろとやってきて、苦虫を嚙み潰したような顔で、わたしのことを家まで送ってくれたの。
 わたし、しばらくそのときのことを考えたわ。雲の上のお人。菊の香りのするお人。一体、どんな生活をしているんだろうってね。
 嫌だわ、やきもち妬かないで。言ったでしょう、ほんの小娘の頃の話よ。あの貴族様だって、わたしのことなんか忘れているでしょう。
 でもね、たまに思うの。手の届かない人を想って、長く、眠れない夜を過ごす。あの人もやっぱり、そんな経験をしたことがあるのかしら。例え、あんな恵まれたお人でも。そうじゃなきゃ不公平だわって思うわたしは、意地悪なのかしら――ってね。

 

五、

 まぁ、あの子のことが聞きたいの? 構わないけど、どうして人って、こう過去のことを蒸し返そうとするのかしら。ねぇ、話してあげてもいいけど、絶対にあの人の前では言っちゃだめよ。この話を持ち出すと、今でもぐずぐず泣いてお酒を飲むの。
 家族ってね、ときに死に別れるよりも辛いことってあるのねぇ。
 賢い子だったのよ。あたしの話も、専門分野じゃなくたって、何だって興味を持って聞いてくれて。飲み込みが早いだけじゃなくって、思いもかけない意見を言ったりしてね、それで、あたしたちじゃ気づけなかった新しい知見がぱぁっと開けることもあったっけ。
 学者なら誰でも、あの子と話すのは最高の喜びだったと思うけど、でも、どうなのかしら。中には、複雑な気持ちになった人もいたでしょうね。そのくらい、特別に頭のいい子だったから。その代わり、相手の密かな引け目なんかには気づかなくって、いつも自信に満ちていて――だから、本人にそんな気はなくても、曇った目で見れば、自分の賢さを鼻にかけているように見えたかもしれないわねぇ。
 と言っても、十五歳よ。年相応の若さよね。自分が正しいと思ったことを真っ直ぐ貫いて、明るい未来を見つめる目をしてた。理想の世の中を実現できると、自分にはその力があると、信じて疑わない若者の目を。
 だからかしら。あんなに早く、神様にとられてしまったのは。
 この世で生きるには、あまりにも曇りない目をしすぎていたから。
 あたしだってね、実の弟のように思っていたのよ。実際、そうなるかもしれなかったのよ。でも、今更そんなこと言ったって仕方がないわね?
 過ぎたことは過ぎたことですもの。あの子はもう、帰ってこないわ。
 そうでも考えないと、やりきれないじゃない。ねぇ?

 

六、

 艶男だったよ。若くはない。だが、重ねてきた年に、謎という名の帳を下ろして、ふんわりと秘密の薫りを身に纏っている。それが己の魅力になることを、よく理解している御仁でね。とんだ食わせ者だ、と思ったのを覚えている。
 いつも品のいい薫物を焚いていたから、風流人なのだろう。その向こうに、遙かな潮騒の香りを感じ取れるのは、京の外を知っている人間だけだろう。同郷の者ならば、そこに懐かしい、どこまでも広大な海の景色を見て取るに違いない。
 私が、あの男と話してみる気になったのも、元はと言えば、その故郷の幻想に、泣きたくなるような郷愁を覚えたからだった。
 言葉遣いは柔らかいが、ところどころに皮肉が混じる。己が危険な人物であることも匂わせる。賢いが、決して優しい男ではない。そのくせ、女にはよくもてる。詰まらない話だ。そうだ、私は結局、あまり彼を好きにはなれなかった。散々、からかわれたのでね。
 まぁ、私も若かったしね。今だって、彼に勝てるとは思えないが。
 ただ、一つだけ、私は彼の知らない、彼自身のことを知っているのだよ。この先も、決して本人に言うことはないが、袖振り合うも他生の縁だ、君にだけは教えてあげよう。
 あの男はね、あれで好奇心が強いのだ。人というものが好きなのだ。人生は孤独だと嘯きながら、私という人間を面白がり、私との会話を楽しんでいた。
 私は考える。あのとき、あの男は何故、京に留まっていたのだろうと。
 そして答える。あの京に生きる人々が、もしくはその中の誰かが、あの男をどうしようもなく惹きつけていたのだろうと。
 あの男の好奇心を、人をからかうのが好きな悪戯っぽい心を掴んで離さない何かが、あのときの京にはあったのだろうと。

 

 

玄武二人の分は、クオリティが低かったので自主的にボツにしました。

平家とか、僧兵装束とか書いちゃってるけど気にしない!(気にしろ)

髪色など、目立つ記号的部分の描写を控えるのは、実は普段から意図的にやっていることだったりします。そういう描写をしてしまうと、表現の奥行きが薄くなってしまう気がして。その限りではない作品もたくさん読むんですが、わたしがやるとどうしてもダメなので、ちょっとしたこだわりとなっています。

【遙か2】花梨SS(イサトver.)

※こちらは、遙か2本編で語られていない花梨の心情を、想像・捏造した二次創作となります※

 

 

願掛け ~イサト 大切な恋~

 

 その日、一条戻り橋に寄ったのには、ひそやかで切実な理由があった。
「も、ど、れ、ま、す、よ、う、に」
 靴音を鳴らして橋を渡りながら、一緒にいる二人に気づかれないように、小声でそっと言ってみる。一度では不安なので、もう一度。また、もう一度。
 うろうろと橋を往復する花梨に、怪訝そうな声がかかる。神子殿、どうかされたのですか。なんでもありませんと明るく答えて、だめ押しにともう一回渡る。もう大丈夫かな。きっと大丈夫かな。
 京の一条大路、堀川に架けられた木造の橋。奇妙に鄙びたこの橋を渡る意味を、花梨に遠回しに教えてくれた人はここにはいない。今日は、一緒に来ていない。
 元の世界に帰りたい自分の分と、それから、滅びに向かっていく京の分。花梨がまだ見たことのない、美しく栄えていた頃の京を取り戻せるように。戻れますように。帰れますように。ほんの数時の願掛けに、ありったけの思いを込めた。
 誰にも言わなかったのは、自分の分の願いが入っていることが、ちょっぴり後ろめたかったからだ。帰りたいと思っていることが、後ろめたい。なんでかな。どうしてだろう。
 だって、みんな一生懸命だから。必死で、この世界の危機に立ち向かおうとしているから。やっぱり家が恋しいなんて、なんだかちょっと言いにくいよ。
 初めてこの京に降り立って、見知らぬ男の子に手を引かれてこの橋を渡った。ぐいぐい引っ張る、強引で力強い手。他の何よりも、この世界が現実であることを教えてくれた、ごつごつと節くれだった手。マメだらけの手。
 生きている人の手だ、と思った。汗水垂らして生きて、苦労を重ねてきた人の手。働き者の手。そんな手を、目の前の、自分とあまり年の変わらない男の子が持っている。
 履き古した下駄に乗って、風のように走る足に、どうしても追いつけなくて、必死の思いで橋を渡った。あの世に繋がる橋。あちらとこちらを繋ぐ橋。こうして花梨は、京へ来た。現実と幻想が逆転し、働き者の手を持った男の子が花梨に名乗った。
 オレはイサトだ、と。
 まだ、お互いを待ち受ける運命を知らなかったときのこと。決して忘れられない、始まりの日。
 あれからもう一度だけ、イサトとはここへ来た。
 そのときは知る由もなかったが、イサトは花梨のために、花梨を元の世界へ帰すために、願掛けをしに来たのだった。戻れますように。帰れますように。ちょっとした強がりで親切をくるんで、決して本音は言わなかったけれど。
 お前には、どうしてもあの橋を渡ってもらいたかったんだ。
 オレがいないときは、あまり無茶しないでくれよ。
 言葉の端々に覗いた心が、未だに花梨には読み解けない。イサトくんは難しい。カッと火のように怒ったかと思えば、水をかけられたウサギのように、ぐったり、自信をなくしてしまう。いつもは元気に満ち満ちているのに、たまに覗かせる顔は苦しげで、見ているこちらが切なくなる。
 だけど、と花梨は胸に手を当てて考える。
 イサトくんの笑顔はあったかい。一緒にいたいと思える人だ。
 あれ? 胸が、一瞬ちかっと痛む。
 戻れますように。帰れますように。私は、元の世界へ帰りたい。私の家に帰りたい。だから、そのために頑張っている。そのはず――だよね?
 小指の先ほどの違和感。ちかりと瞬いて消えた。花梨は首を横に振り、また、小さな声で繰り返す。流行りの歌を口ずさむような、悩みのない、軽やかな調子で。
 戻れますように。帰れますように。

 

 

ネタを思いつくまでは相当悩んだんですが、恋愛に入る兆しが少し見えたくらいの花梨を書こうと決めてからは、不安になるくらいすらすらと書けました。

……なので、まだ不安です笑

 

 

〈花梨SSシリーズ〉 こちらもよろしくお願いします!

【遙か2】花梨SS(幸鷹ver.) - ほーちゃんの趣味手帖

【遙か2】花梨SS(彰紋ver.) - ほーちゃんの趣味手帖

【遙か2】花梨SS(泉水ver.) - ほーちゃんの趣味手帖

【遙か2】花梨SS(勝真ver.) - ほーちゃんの趣味手帖

【遙か2】花梨SS(勝真ver.)

※こちらは、遙か2本編で語られていない花梨の心情を、想像・捏造した二次創作となります※

 

 

鼓動 ~勝真 大切な恋~

 

 勝真さんの腕の中で、一瞬、真っ赤に燃え盛る空が見えた。

 しっとりと雨に濡れた体が冷えて、そのくせ、ぴったりとくっついた背中だけが生温かい。恥ずかしくて、居心地が悪くて、泥で汚れた膝小僧をひたすら見つめていた。
 「後ろを向くな」なんて言われなくても、はじめからぴくりとも動けない。
 小さなくしゃみが飛び出して、体に回された勝真の腕に力がこもる。ますますうつむいた花梨の様子を見て、濡れそぼったススキの原が、さわさわさわと笑い声を立てた。
 今、私の顔は赤いだろうか。耳まで赤く染まったら、勝真さんに見られてしまう。
 勝真の腕の中は、狭くて、熱くて、心臓に悪い。どこどこどこと、鼓動が脈打って耳朶を打つ。どこどこどこ、どこどこどこ。不規則な音に追い立てられて、花梨は思わず目を閉じた。
 ざあざあと、降り止むことのない雨の音。いつもなら意識したこともない、勝真の吐息の熱っぽさ。足元から立ちのぼる冷たい湿気と、むせるようなススキの匂い。
 ――その向こうで、人の声がする。

 ひりつくような熱風が、どっと頬に吹きつけた。
 叫んでいる。泣いている。限りある身を振りしぼり、喉の奥からほとばしる人々の悲鳴。虚空を走り、大気を震わせ、怨霊の断末魔となって空へと消えていく。
 もうもうと立ち込める煙の向こうで、禍々しく燃え盛る紅蓮の空へ。
 ここはどこ? 今にも崩れ落ちそうな建物の狭間で、金縛りに遭ったように身動きが取れない。息をするにもわずかな空間。このままこうして、死ぬんだろうか。
 さわさわさわ。ススキの笑い声に混ざって、ひゅうひゅうと風が吹く。遠くで、逃げ惑う人々の声がする。ごうごうと巻き上がる炎が唸る。
 ざあざあと、すべてを洗い流す雨音の中で、泥と涙でぐちゃぐちゃに汚れた顔を、炎の熱気に焼かれる少年の姿が見えた。

 花梨は、ぱっと目を開けた。さっきと変わらない、じっとりと熱をはらんだ腕の中。
 今、瞳に映った光景。その場に息づく全てのものたちを呑み、焼き尽くす大火の原。
 気のせいだろうか。――きっと違う。狭くて、熱くて、暗い場所。死の足音が聞こえるあの空間で、勝真さんは見たんだ。まじりけのない恐怖と、絶望を。
 膝をしっかりと抱きかかえ、ほんの少しだけ、背中を後ろに預けてみる。どこどこどこと、うるさいくらいの鼓動が、触れた部分から伝わってきた。
 勝真さんは、生きている。このせわしない音が、その証。
 無性に顔を見たくって、けれど「後ろを向くな」と言われているから、しずくの伝う膝小僧を見つめたまま、背中から伝わる重みを感じていた。
 その熱を、生きる力に溢れた、でもちょっとだけ気恥ずかしい熱を、感じていた。

 

 

このイベントスチルの、ガチガチに緊張しちゃって膝ばっかり見てる花梨が好きで、試しに書いてみたんだけど恥ずかしかった……(わたしが)

勝真さんが登場すると、妙に恋愛SLGっぽさが増すのって気のせいですかね?

 

 

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