【遙か2】バレンタインSS~花梨編~
こちらは、遙か2〈現代ED後〉の、花梨と八葉が過ごすバレンタインの様子を、想像・捏造した二次創作となります。
以下のプロローグをお読みになり、お好きな八葉の物語へとお進みください。
高倉家のキッチンに、甘い、甘ぁい匂いが充満している。帰ってきたお父さんはゲホゴホと咽込み、お母さんは花梨を呼びつけて、今すぐキッチンを片付けなさいと命令した。
とろとろのチョコレートが残ったボウル、流しに無造作に放り込まれた鍋。ココア色の染みがところどころにこびりついたエプロンを脱ぎ捨て、ラッピングに没頭していた花梨は、お母さんに叱られてもとんと堪えず、はーいと明るく返事をすると、ごちゃごちゃのままのキッチンへと入っていった。
キッチンから、上機嫌な鼻歌が聴こえる。お母さんは、お父さんにお茶を出しながら、角を収めてそっと笑いを忍ばせる。お父さんはお茶をすすって、憮然とした表情でテレビを睨む。と、ばたばたと慌ただしい音がして、小さな包みを持った花梨がリビングに飛び込んできた。振り返らないお父さんに向かって、包みを雑に放り投げ、「バレンタインのチョコレート!」と元気な声で言い捨てて、またキッチンへと駆け戻る。お母さんが、たまりかねたようにくすくすと笑う。お父さんも、気難しく作った顔に照れをにじませて、不器用に笑った。
花梨にとっては初めての、誰かの彼女として、大好きな彼のためにチョコレートを作ったバレンタイン。
自分が、誰かだけの女の子であるという幸福感。
自分に、私だけの彼がいるという満足感。
キッチンはチョコレートの匂いで満ちていて、後片付けに追われる花梨の心は、幸せで満たされている。えへへへへと笑み崩れながら、花梨が頭に思い描いた人は――
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