ほーちゃんの趣味手帖

主にゲームについて語ります。ジャンルは雑多。プレイ速度は亀

【十三機兵防衛圏プロローグ】考察①~鞍部 十郎~

2019年3月14日に発売された、十三機兵防衛圏プロローグ。
考察をまとめる場がほしかったので、久々に記事更新です。
こうやってきちんと書こうとすると、どうしても長続きしないのがネックですが、発売まで時間があるので、一人ずつ感想含みで書いていけたらなぁと。

 

今回は、一番初めにストーリーが解放になる 鞍部 十郎 です。
(2019/03/23: 長くなりすぎたので途中経過をupしちゃいます。随時更新予定)

 

タイトル画面の真ん中にどーんと構えている子です。
素直で誠実そうな好感持てる少年で、真っ直ぐな心を持ち、いざと言うときに正しい判断ができる人物と言う印象を抱きました。
正義感が強く、誰とでも上手くやれそうな、正統派ヒーローですね。好き。

以下、ざくざくネタバレしますのでご注意ください。
(と言うか、プロローグ遊んでない人には内容さっぱりだと思うw)

 

 

 

*プロフィール

鞍部 十郎(くらべ じゅうろう) 咲良高校 1年B組
本名は和泉 十郎。今までの記憶を“偽の記憶を上書きする”と言う形で奪われ、与えられた偽の人生を生きている。穏やかな性格で、特撮、ロボット、怪獣映画が好き。

 

*和泉 十郎の足跡

まず、十郎の登場シーンの中で一番古いと思われるのは、東雲 諒子編2064年に明日葉市の中心部で行われた、怪獣たちの本格侵攻に対する防衛戦です。
ここで敗戦を喫した十郎たちは、森村・井田・郷登ら後方支援の手によって、別の時代へ“強制転送”されることで命を拾います。

十郎が転送された先は、薬師寺 恵編2024年10月のさつき池公園
ここで十郎は、助けてくれた恵との間に何らかの心の交流を持ったようですが…
その後、彼は、2020年代に現れた怪獣たちを迎撃するため、恵の制止を振り切ってもう一度機兵に乗り込み、単身で戦いを挑んだ末に敗北。
意識が混濁するレベルの重症を負い、森村 千尋もしくはその協力者の手で1985年に身柄を移され、治療のため、鞍部 十郎と言う真っ新な人間に生まれ変わったのでした。鞍部 十郎編に続く。ちゃんちゃん。

以上はあくまで、「このように考えると最も自然」と言うだけで、壮大なミスリードである可能性も捨てきれません。全編そんなのばっかですw
また、記憶の上書きに関する表向きの説明は、かなーりきな臭いですよね…

 

*そもそも和泉 十郎っていつの人?

わかりません。
ぶっちゃけるとこの作品、十郎含め、ほとんどのキャラクターが“生年不詳”です。
たとえ、本人が「私は1985年の女子高生よ」と自認していても、記憶をいじられている可能性が常につきまとう以上、何とも言えません。
ついでに言うと、本当にこの世界の人間なのかもわからない。予想するしかない。

が、十郎に関しては、表向きの情報すら出ていません。
わかっているのは、2064年の防衛戦の時点で、既に機兵に乗って戦っていたと言うこと。
恐らく、早い時期から適合を見出され、機兵の搭乗員となったのだと思われます。

機兵の起源に最も近いと思われるのは、郷登 蓮也編2104年の敷島技術研究所のシーン。
井田が「前回では機兵はなかった」と発言しており、襲い来る怪獣への対抗手段として“機兵”が生まれたばかりであることを匂わせています。
また、同シーンで井田は「2064年の学校に戻って」「他の二人の適合者の協力も得ねば」とも発言しており、これを、年代と状況から東雲 諒子と関ヶ原 瑛の話だと仮定すると、東雲 諒子編の冒頭は、井田が2064年に戻った後のシーンと見ることができます。
この後、井田らは諒子と瑛の協力を得て、2064年の防衛戦へと挑むのですが、このとき諒子たちと一緒に戦っているのが、13番機に乗った“十郎”なんですね。
故に、十郎は諒子たちと同時期、あるいはそれより前に協力者となったことが予想されます。機兵計画が始まった頃から関わっていた人物と言うことですね。

ちなみに、気付いた方も多いかと思いますが、各機兵の番号は、通信中のキャラクターの顔の右下にちゃっかり書いてあります。
更に、2064年の防衛戦のシーンでは、井田の操作するモニターをよく見ると一部の搭乗者の顔が映っているのが見て取れます。十郎らしき顔も左上に…
機兵が強制転送される瞬間等、ガン見すると楽しいシーンです(*^^*)

 

*恵と出会ってからの十郎

2024年10月の恵との出会いのシーンは、機兵に乗っている状態で突然現れたこと、「戦線は崩壊だ」と発言していること等から、2064年の敗戦、強制転送の末の出来事と見るのが自然でしょう。確証はないですが、以下はその前提で話を進めます。

時空移動で飛べる地点(時間と場所)に法則性があるのだとすると、まさに移動してきた瞬間が描かれている十郎と恵のシーンは貴重です。
さつき池のど真ん中に機兵が落ちたことを考えれば、人命に関わる事故が起きないように何らかの配慮がされている可能性も高いと思います。
また、このシーンで十郎は、「次はここ(2024年)が危険なんだ」「この時代も奴らに狙われている」と発言していますが、これは“元々(2064年での防衛に失敗すれば)次に狙われるのが2024年だと知っていた”と解釈するのが自然かなと思います。他にも考え様はありそうですが…
他の主人公のお話と考え合わせると、怪獣が襲ってくるのは40年毎なのでは? ついでに時空移動で飛べるのも40年毎なのでは? なーんて想像が膨らんじゃいますね。
過去へ過去へと逃げる人類を追ってくる怪獣… それを食い止めるための防衛戦線… と、ここまで妄想してしまうと飛躍しすぎでしょうか? 何にせよワクワクしますo(^^)o

恵との別れは2025年、出会いの翌年となります。
恵と出会った“半年後”には、十郎は既に“鞍部 十郎”として1985年に移っているので、実質、恵と過ごした時間は半年未満と言うことになりますね。
しかし、「身体も治ってないのに」「君には感謝している」と言うやりとりは、短い間に、十郎が恵の看病によって救われる… そんな二人の思い出があったようにも聞こえます。
距離感も近いですし、二人は恋仲、あるいはそれを匂わせる関係だったのでしょう。
ここで少し気にかかるのは、十郎が「今、戦えるのは13番機だけ」と発言していること、そして、恵が「あのロボット取り返して」と発言していることの二つです。
十郎の発言は、“2025年に存在している機兵は13番機一機だけ”と言う意味とも、“2025年に存在している他の機兵は損傷等しており使えない”と言う意味とも取れます。
使えなくなった機兵と聞くと、真っ先に思い浮かぶのは、郷登 蓮也編に登場した“汚染”と言うワードです。他の機兵は“汚染”されてしまっているのでしょうか?
(このあたりのことは、郷登 蓮也の考察で詳しく突っ込む予定です)
また、恵の発言は、現在機兵が何者かに奪われていることを示唆しています。
この後、2025年も怪獣の襲来を受けるわけですが、十郎がそれを迎撃したと言う明確な描写はなく、ひょっとしたらそれより前、機兵を取り戻そうとした過程で何らかの事故があったのかもしれません。想像するしかありませんが…

 

*“鞍部 十郎”の誕生

十郎が“鞍部 十郎”として登場する中で最も古いのは、薬師寺 恵編1985年、咲良高校の校庭で、記憶を失った十郎に駆け寄ろうとする恵を森村が制止するシーンです。
これは、十郎と恵の出会いから半年後とされていますが、時空移動の法則がわからないため、何月のシーンなのかはわかりません。
時空移動が12ヶ月毎の単位で行われる(=4月からは他の年の4月へしか飛べない)と仮定すれば、4月と考えるのが妥当でしょうか。
同じ4月と思しき冬坂 五百里で、十郎は既に“鞍部 十郎”として1985年に馴染んでいたので、それより後と言うことはなさそうです。
ここで森村は、十郎の容態について、恵に「手の施しようがなかった」「別の人格として治療している」と説明しています。額面通りに受け取れば、十郎は2025年の怪獣襲来の際に何らかの形で負傷し、健康な生を取り戻す代価として過去の記憶を失わざるを得なかったと言うことになるでしょう。
筋道は通っていますが、問題は証言者である森村です。
このときの彼女は、本当に本物の“森村 千尋”なのでしょうか?

“森村 千尋の体が何者かに乗っ取られているのでは”と言う疑惑は、郷登 蓮也編の冒頭で呈示されます。1985年、“最終戦”数週間前の理科室のシーンです。
森村の体がいつから、誰に乗っ取られたのかについては、郷登 蓮也の考察に回すとして、薬師寺 恵編“鞍部 十郎”のシーンの森村を“偽物”と仮定すると、いろんなことに辻褄が合ってきます。

記憶を上書きされた十郎は、機兵のことは勿論、この世界の一番の脅威である怪獣の存在も知りません。
自らが戦うことはおろか、周囲に警告を発することすらできないのです。
ざっくり言えば、この“和泉 十郎”を“鞍部 十郎”として再教育すると言う行為、ぶっちゃけとってもワルモノっぽい! 「彼のためなのよ」なーんて言って恵を十郎に近づかせまいとしていた森村、めっちゃ悪役っぽい! …と言うことです。
やっぱり確証はありませんが、以下は十郎の記憶をいじった森村=偽物と言う前提で話を進めます。(間違っていた場合、この考察は以降大きく脱線していくことになります)

十郎の治療を行った森村が偽物だとすると、気にかかるのは、十郎が2025年で恵と別れる際、恵とその友人・兎美に「いざとなったら森村の指示に従うように」と指示していることです。森村の体が、1985年に移動する以前から乗っ取られていたのだとすると、この後、十郎の指示通り森村を頼ったであろう恵と兎美もまた、何らかの虚偽の説明を受けたり、不利な待遇をされたりしている可能性があります。

恵と兎美は、どちらも1985年の咲良高校1年生、つまり十郎の同級生として冬坂 五百里他に登場しますが、その描写にはいくつか不審な点があります。
まず、兎美は、十郎が2024年に転送されてきた瞬間を恵と一緒に見ていた目撃者です。
2025年には、十郎を“和泉 十郎”と呼び、港に怪獣が現れたことを報告しています。
よって、兎美と十郎は顔見知りであるはずなのに、1985年に“鞍部 十郎”のクラスメイトとして登場する兎美は、十郎の身に起きた異変について一切触れていません。
勿論、たまたま描写がなかっただけの可能性もありますが、兎美が何を、どこまで知っているのかについては気にかかります。

更に、恵が十郎との接触を禁じられたのは、二人の関係が深く、また恵の十郎への思い入れが強いため、恵の行動が十郎の“和泉 十郎”としての記憶を呼び覚ましてしまうことを恐れてのことだと思われますが、だとすれば、兎美が十郎と同じクラスになったのは何故でしょう。恵程の危険はないにせよ、“和泉 十郎”のことを知る兎美を、森村が警戒しないとは思えません。
何らかの方法で学校の教員と言う立場を得ている森村なら、クラス編成に干渉する手段くらい持っていそうなものですが… 考えすぎかもしれませんが、気になります。

 

*“鞍部 十郎”の生活

平凡な1985年の高校1年生として、新しい人生を開始した十郎。
ですが、タイムリープを経ているため、彼は実際にはもう少し年上なのではないかと思われます。恵と出会った半年前から、既に高校生の出で立ちをしていたからですね。
同じことが、恵と兎美にも言えるでしょう。特に兎美は、如月 兎美編で正確な年齢が判明しているので、この件については彼女の考察で詳しく考えてみたいと思います。

“鞍部 十郎”が登場するのは、薬師寺 恵編を除くと、鞍部 十郎編冬坂 五百里南 奈津乃編の3編です。これを時系列順に並べると、まず十郎たちの教室が旧校舎にある冬坂 五百里、次いで新校舎となった後の鞍部 十郎編、そして十郎と五百里が“夢”のことを話し合っている南 奈津乃編、となるでしょうか。
(鷹宮 由貴編にも、鞄を持って教室から出て行く十郎がちらっと登場しますが、台詞もないし、あまり考察の余地はないかなと… 恵が廊下から十郎を見つめているシーンですね。時間軸としては、南 奈津乃編より更に後です)

冬坂 五百里は、「高校生活開始早々」と言う五百里の発言から、1985年4月の物語だと思われます。十郎は、このとき既に同じクラスの百里と顔見知りになっており、“レンタルビデオ屋で知り合った”同級生の網口 愁と言う友人も得ています。
はっきり1985年5月と明記されている鞍部 十郎編では、クラスメイトの柴 久太、そしてこの時代に居るはずのない主人公の一人・三浦 慶太郎が友人として登場する他、十郎が“夢によく現れる”五百里のことを気にかけている様子が伺えます。
南 奈津乃編の十郎と五百里は、その“夢”について情報を共有し合って、以前より親しくなったように見えます。また、十郎と奈津乃も、クラスは違うけれどビデオの貸し借りをする間柄になっています。奈津乃と五百里は幼馴染と言うことなので、五百里と親しくなったことで、奈津乃とも繋がりができたのかもしれません。

“鞍部 十郎”を語る上で欠かせないのが、“夢”そして“特撮映画”です。
十郎は、“鞍部 十郎”として高校生活を送るようになってから、ロボットや怪獣等が出てくる“まるで特撮映画みたいな”夢を頻繁に見るようになります。
片やミステリアスな“夢”、片やありふれた趣味である“特撮映画”ですが、そこには濃密な関わりがあることを予感させ、鞍部 十郎編の主軸となってきます。

十郎が初めて“夢”について言及したのは、冬坂 五百里、1985年4月。
ここで彼は、友人である網口 愁と、お互いの見た夢について語り合っています。
十郎と「状況も設定も一緒」の夢を見ると言う愁は、それについて「見る度に全然違う夢」「時系列がばらけているだけで(夢と夢が)繋がっているみたい」と説明しており、二人の人間が何度も似たような夢を見る不可思議を訝しんでいます。
一方の十郎は、「映画の影響だと思う」とあまり事態を深刻に受け止めておらず、今後もお互いの見た夢を報告し合おうと言う愁の提案に乗り気でない様子です。
そして、このとき二人の会話を聞いていた五百里もまた、二人に打ち明けなかったものの、4月の時点で奇妙な夢に悩まされていることが語られます。

時は進んで1985年5月、鞍部 十郎編では、前述した通り、百里が十郎の夢によく現れるようになり、五百里もまた、自分の夢に十郎が出てきたことを打ち明けます。
十郎はこのときも、「映画のシーンを夢にまで見る」と“夢=映画の影響説”を頑なに固守している様子ですが、自分を夢に見たと言う五百里の発言には興味を示し、詳しい話を聞こうとしています。その後、南 奈津乃編では、実際に夢について語り合っている十郎と五百里の様子が描写されていたので、本編では、二人が情報を共有し合うことで何かの発見に至る展開があるのかもしれません。

十郎、五百里、愁、三人各々が見た“夢”の内容とその意味については、五百里と愁の考察に回すとして、ここでは、三人の共通点について考えてみたいと思います。
似たような夢を似たような条件下で見ているわけですから、この三人には何かしらの共通点があると考えるのが妥当だと思うのですが、残念ながら、今のところ確信を持って考察を進められるようなヒントはあまりありません。
確実なのは、彼らの夢が“怪獣に襲われる未来”に関わるものであると言うことと、彼ら自身もいずれは機兵計画に関わることになる(あるいはかつて関わっていた)と言うことの二点です。十郎に限って言えば、彼の夢は、彼が“和泉 十郎”であった頃の記憶の片鱗と見ることもできますね。

よって、彼らの夢については、今まで彼らが体験した(失ってしまった)記憶が元になっていると言う説と、これから起こる未来を予知するものであると言う説の二つが考えられるでしょう。前者であれば、五百里と愁も十郎と同様に、何らかの形で今までの記憶の一部を失っていると言うことになります。ただしこの場合、五百里と愁は共に小学校が同じであり、五百里には他にも幼馴染が何人かいますから、“鞍部 十郎”として人生をリセットしたばかりの十郎とは大きく条件が異なります。
また、仮に五百里と愁も記憶を失っているとすれば、他の主人公たち、例えば南 奈津乃編で宇宙人?のBJと共に“記憶セル”を探すことになった奈津乃等、記憶を失くしていそうな人物は他にもいます。奈津乃は五百里の幼馴染の一人で、小学校時代の記憶を共有しているわけですから、一見、置かれた立場は五百里と近いように見えます。けれど、奈津乃は夢を見ておらず、五百里は夢を見ている。つまり、二人の間には何か違いがあるのです。更に言えば、似た夢を見て立場を同じくしているように見える五百里と愁も、鷹宮 由貴編の由貴と井田とのやりとりを聞くと、どうやら立場に大きな違いがあるらしいことがわかってきます。井田が由貴に調査を命じた生徒の名簿の中に、十郎と五百里の名前はあったけれど、愁の名前はなかったんですよね。

これらの事実を詳しく考察していくことは、話が脱線してしまうのでここでは避けますが、一つ言えるのは、主人公たち各々が置かれた立場は、一見するより遥かに複雑に入り組んでいると言うことです。共通点を見つけることは容易ではありません。
そもそも、十郎と愁の夢が“似ている”ことは、愁が確信を持って断言していますが、百里に関しては違います。十郎と愁の夢と、五百里の夢が別物である可能性も捨てることはできません。関連があるのは確かだとしても、ルーツが一緒とは限らないのです。

(執筆中)