ほーちゃんの趣味手帖

主にゲームについて語ります。ジャンルは雑多。プレイ速度は亀

【遙か2】花梨SS(彰紋ver.)

※こちらは、遙か2本編で語られていない花梨の心情を、想像・捏造した二次創作となります※

 

 

山茶花 ~彰紋 大切な恋~

 

 花梨の心は、ふわふわと飛んでいる。季節外れの蝶のように、ふうらふらと頼りない道筋だ。あちらこちらに飛んでは、在りもしない場所に不時着する。
(天女だなんて)
 頬が熱い。彰紋くんは女の子を動揺させるのが上手いと、つくづく花梨は思う。前にもこんなことがあった。その前も。でも、今回のはとびきりだ。
 頬を優しく包まれ、瞳を覗かれ、あなたは僕の天女だと言われた。動揺しない女の子がどこにいる? 心揺れない女の子が、一体どこにいるだろう?
 私、そんなにきれいかな? 丸い和鏡を覗き込み、頬にぷつっと出来物を発見。昨晩、似合わぬ物思いに耽り、京の夜の月を遅くまで眺めていたことを思い出す。普通も普通、ごく平凡な女子高生の姿がそこにある。外見偏差値は平均。自覚はある。
 けれど、そのとき鏡に映った自分は、平凡な女子高生とはひとあじ違うように花梨は感じた。うっすらと桜色に染まった頬、いきいきとこちらを見つめる瞳、今にもほころびそうなくちびる。こんなふうに見えたことは一度もなかった。――驚いた、私はきれいなんだ!
 それとも今、巧みな彰紋の言葉に乗せられて、そう見えているだけなのか。
 花梨は鼻歌を歌いながら、活けてあった山茶花を一本手折り、髪に差してみた。普段、あんまり髪をいじらないので、なかなか上手くいかない。なんとか手を離してみると、ぴょんと頭から飛び出した山茶花の細枝が、花梨の心と同じように、ふうらふらと揺れている。
 山茶花は、彰紋の好きな花だった。山茶花も、やっぱり面と向かって好きと言われると照れて、嬉しくなって、ふわふわした気分になるのかもしれない。
 山茶花に親近感を抱いた花梨は、髪からそれを引き抜いて、指先でそっとがくを挟み、華やかな花にくちびるを寄せた。
 ふと鏡を見ると、地上の花に口づけをする、天女の姿がそこにはあった。

 

 

甘い言葉を言われて、ふわっふわしてる花梨が見たくて、自分で捏造してみました。

第一稿では、山茶花が木に咲く花であることを失念しており、なんか茎があったので、大急ぎで手直しした思い出。

 

 

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